2017年5月23日。

昨日の午後イチの講義。朝イチの演習の自分の担当分は終っているが、1日遅れで講義の記録を。

1次元のフラウンホーファー回折として、各種開口についての計算を行うところに入る。今回と次回がそれ。物理が見やすいので、平行光が回折されるものとする。積分の前の定数が1となるような単位と取って開口面上の位置xにおける振幅u(x)を計算する。

最初は、単スリット。幅が2a、つまり開口関数f(ξ)は、-a<ξ<aで1、その外で0。簡単な積分によりsinc(x)=sin(X)/Xを用いて、u(x)=2a sinc[(2πa/λR)x]となる計算は、簡単。Rは開口面と観察面の距離。ここから、まずx=0で振幅が最大になることを述べ、次いで暗線条件を調べる。暗線条件は厳密にxm=m(λR/2a)=m(λR/d)と求まる(m≠0)。d=2aはスリット幅。暗線間隔Δx=xm+1-xm=λR/dをまず説明。光軸と第m暗線の角度をθmとして、|θ|<<1のときにtanθ~θ~x/Rを図を描いて示して、隣り合う暗線の間隔に相当する角度Δθ=θm+1m=λ/dも説明。回折の広がりは、波長λに比例して大きくなり、スリット間隔dに反比例して小さくなる。Rは、相似に拡大するだけで、角度は変わらない。明線位置に関しては、xが大きいときにはsin[(2πa/λR)x]=±1を与えるxで近似できるが、厳密んにはdu(x)/dx=0を解くんですよ。演習問題として、各自で考えてみて下さい。回折の広がりについて述べましたが、中心の一番大きなピーク、0次回折光の半値幅や第1暗腺までの距離、1次回折光のピーク位置によって評価するやり方もありますね。流儀でなくて、それぞれ物理があるんでよね。

さて、暗線間隔についての議論、高校でやったことを思い出しませんか? 二重スリットによる干渉のところで全く同じ議論をしましたよね。実は、高校でやった明線の条件と今の単スリットの暗線の条件が一致するんですよ。高校と大学の違いは、何ですかね? 振幅uの分布が計算できるのが大学、光路差だけで暗線条件・明線条件を出すのが高校なんです。二重スリット(間隔2a)による干渉の振幅の分布を計算して見ましょう。(図を描いて)上側のスリットからの光波の振幅をu+、下側からのをu-とし、観測点ではu=u++u-。u±=u0exp(-kl±)、l±=(R2+(x-/+a)2)1/2のようにして計算を進め、u(x)=u(0)cos[(2πa/λR)x]を導出。

干渉の計算で、それぞれのスリットの内の異なる位置を通って来た光波の足し合わせは考えてきませんでしたね。そのような足し合わせが回折で、今日は二重スリットによる回折を行って終わりです。その前に、どのような条件で回折の効果が生じなくなるのか、考えておきましょう。スリット幅が小さい場合ではありませんよ。u(x)=2a sinc[(2πa/λR)x]なので、a→0でu(x)→0になってしまいますね。光源を発する光の可干渉性という問題です。光源に質が悪いと、スリットの内の異なる位置での光波の位相の差異は問題にならない訳です。初期位相に関して、可干渉性の説明をしましょう。レーザーは、可干渉性のいい光源ですから、初期位相は一定とみなせますが、やはり長い時間経つと初期位相は異なってしまいます。時間とともに初期位相が変化する訳で、その時間が短ければ質の悪い光源ということになります。スリット内の異なる位置での光な波の位相の違いが問題にならないのは、光源の質の問題なのです。

さて、二重スリットによる回折に入りましょう。二つのスリットの真ん中に原点ξ=0を取るやり方と、一つ目のスリットの真ん中に原点を取るやり方が考えれれますね。ここでは、後者のやり方で計算します。スリット幅を2a、間隔を2bとして、開口関数を書く出して積分を計算。一つ目のスリットからは単スリットの単スリットによる回折の結果u1(x)=2a sinc[(2πa/λR)x]が出てきて(添え字の1は単スリットを表す)、二つ目のスリットからはexp[i(2πx/λR)2b] u1(x)が出てくる。尚、前者の原点の取り方だと、一つ目のスリットからの回折光の振幅に位相因子exp[-i(2πx/λR)b]が付き、二つ目に位相因子exp[i(2πx/λR)b]が付く。二重スリットに依る回折の結果は、これら二つを加えた形で、u2(x)={1+exp[i(2πx/λR)2b]}u1(x)となる。位相因子の和の部分は1+exp[i(2πx/λR)2b]=exp[i(2πx/λR)b]{exp[-i(2πx/λR)b]+exp[i(2πx/λR)b]}となり、cos[(2πx/λR)b]が出てくる。最終的には強度I(x)=u*(x)u(x)が観察されるので、位相因子exp[i(2πx/λR)b]は効いてこない。干渉と回折の積になるという説明をした後に、へたくそなグラフを描く。最後に、欠線の話をして終り。

少し余裕があったのは、次のようなことのため。毎年、時間一杯になるのですが、今日は少し余裕がありますね。何か言い落としたことがあるかと思ったら、例年は回折の広がりについて、もう少し具体的に説明してましたね。

目標2のレポート問題を作成中なのが時間がない事情でもある。そりゃ、もう12回目で文字通り終盤ですから。